企業が知りたいのは「診断名」よりも「どうすれば働けるか」


就職活動では、本人の障害名や診断名を企業に伝える場面があります。
もちろん、診断名や障害特性は、本人を理解してもらうための大切な情報の一つです。
ただ、それだけでは、企業側も「実際にこの職場でどのように働くのか」まではイメージしにくいことがあります。
企業が知りたいのは、
「この人には、どんな仕事ができそうなのか」「どんな場面で困りそうなのか」「困った時に、本人はどこまで自分で対処できるのか」「会社はどこをサポートすればよいのか」
といった、実際に働く場面での見通しです。
診断名だけでは、働き方までは分かりません
同じ診断名があっても、得意なことや苦手なこと、困りやすい場面は一人ひとり違います。
また、同じ本人でも、仕事内容や職場環境が変われば、困り方は変わります。
たとえば、
静かな場所では集中できるけれど、人の出入りが多い場所では作業が途切れやすい。
決まった作業は安定してできるけれど、急な変更が続くと混乱しやすい。
一度にたくさんの指示を受けるのは難しいけれど、一つずつなら取り組みやすい。
こうしたことは、診断名だけでは分かりません。
だからこそ、オカヤマエールでは日々のプログラムや職場実習を通して、
「この会社で、この仕事をするとしたら、どんなことが起こりそうか」
まで整理していくことを大切にしています。
良いことだけを伝えればいいわけではありません
就職してほしいと思うと、どうしても本人の良いところを企業に伝えたくなります。
「真面目です」「一生懸命取り組みます」「この作業は得意です」
もちろん、できることや良いところを伝えることは大切です。
ただ、良いことだけを伝えて就職すると、働き始めてから企業が初めて困りごとを知ることがあります。
企業からすると、
「最初に聞いていた話と少し違う」
と感じてしまうかもしれません。
一方で本人も、
「自分では頑張っているのに、なぜ注意されるんだろう」
と戸惑うことがあります。
オカヤマエールでは、できることだけでなく、起こりそうな困りごとも事前に伝えることを大切にしています。
それは、本人に不利な情報を伝えるためではありません。
「それなら、どうすれば働きやすくなるか」を、就職前から企業と一緒に考えるためです。
「配慮してください」だけではなく、役割を整理する
本人に苦手なことがある時、企業にサポートをお願いすることがあります。
ただ、
「ここが苦手なので配慮してください」
だけでは、企業も具体的に何をすればよいのか分かりにくいことがあります。
そこで大切なのが、
本人はどこまで自分で対処するのか会社にはどこを助けてほしいのか
を整理することです。
たとえば、
「分からない時は、まず本人が手順書を確認する」「それでも分からなければ、担当者に質問する」
というように分けて考えます。
さらに、そのサポートが実際にその会社で可能なのかも確認します。
会社によって、できることも難しいことも違います。
だからこそ、本人の希望だけでも、会社の都合だけでもなく、双方が無理なく続けられる方法を一緒に探していきます。
採用後も「どうすれば働けるか」を考えていきます
採用前に整理していても、実際に働き始めてから初めて分かることもあります。
たとえば、就職後に職場の方から、
「何度か同じことを伝えているけれど、なかなか修正につながらない」
と相談を受けることがあります。
本人に確認すると、注意されたこと自体は理解していても、
「どこをどう変えればいいのか」「次から何を意識すればいいのか」
まで整理できていないことがあります。
そのような時に、本人へ「もっと気をつけよう」と伝えるだけでは、同じことが繰り返されるかもしれません。
そこで、
本人が次から意識することは何か。職場側は、どのように伝えると分かりやすいか。支援者が間に入った方がよい場面はどこか。
を一緒に整理していきます。
本人だけの問題、会社だけの問題と決めつけるのではなく、実際に起きていることをもとに、働き方や関わり方を調整していくことが大切です。
「この人は、どうすれば働ける人なのか」
就職支援では、本人のできないことを企業に並べることが目的ではありません。
反対に、できることだけを並べることでもありません。
大切なのは、
「何ができるのか」「何が難しいのか」「本人はどこまで対処できるのか」「何を助けてもらえば働けるのか」
を具体的にしていくことです。
ここまで整理できると、
「この人は働けない人」ではなく、
「こういう条件なら力を発揮できる人」
として、その人の働く姿が見えやすくなります。
オカヤマエールでは、診断名だけで本人を説明するのではなく、その人がどうすれば働き続けられるのかを本人と一緒に整理し、企業とも共有していきます。
就職することだけでなく、その先も安心して働き続けるために。
本人・企業・支援者で、「どうすれば働けるか」を一緒に考えていくことを大切にしています。




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